奈良時代の公用文字として神代文字(じんだいもじ、かみよもじ)の一種の豊国文字やその草書体である阿比留草文字が使われておりました。
つまり「漢字渡来以前に文字があり、それらは奈良時代以降にも公用文字であった」ことは、伊勢神宮文庫の奉納文が証拠となります。
おそらく漢からの文字よりも日本古来の文字が神様への奉納には相応しいとの理由で、奉納文は稗田阿礼、和気清麿、源頼朝、平清盛など多数によって書かれました。
江戸時代から現在も神代文字には否定的な立場の学者が多いので、伊勢神宮文庫以外の全国の神璽や守符、奉納文に見られる神代文字の一例を紹介します。
【神社の神霊札、神璽】
下記の写真は御嶽神社、大和神社、吉野神宮、氷川神社、浅間神社、平安神宮、春日大社、戸隠神社、石上神社(順不動)などのお札の模写。 *1
【神代文字で解読】 阿比留草文字(節墨譜文字)、阿比留文字の四十七文字のコード表を使用 *2
注)誤読はあり得ますので、次候補も残しておきます。
(1番目の写真)
平安神宮の神霊:オニシラヒノミタマ
春日神社の神霊:カイヒス ヒツオオ カミノ
根津神社の神霊:ネツノオホカミ
(2番目の写真)
大和神社、鎌倉宮、大山阿夫利神社、吉野神宮、浅間大神、都々古別神社のお札の模写と解読結果です。
尚、御嶽神社は文字が小さくて判別できず、佐太神社は手許のコード表には無い字体にて未解読です。
(3番目の写真)
稲荷神社、氷川神社、出雲大神、黄金神社、廣瀬神社、伊佐須美神社、浅間神社、氷川大神のお札の模写と解読結果です。
*1 「竹内文献資料集成 人之巻」矢野祐太郎、八幡書店
上記に集成の昭和8年「神字起源解」著者の高畠康明氏が全国の神社を訪ねて模写したお札
*2 コード表(4番目の写真)は以下の所伝の模写と(「神字彙」記載)、解読済の神代文字から適時更新しております。
対馬国の阿比留氏、大和国法隆寺、出雲国大社、神祗伯王家、周防国加茂神社、近江国綿向神社
大和国三輪神社、阿波国大宮神社、相模国鶴岡社、常陸国鹿嶋神社、越後国弥彦神社