l.霊魂の実在

命題「霊魂は実在する」
 私は大学で情報工学を専攻し45年近く本命題を考察しておりました。
 まず「霊魂は実在しない」と仮定します。意識、記憶は遺伝子やニューロンによる電子情報系によると仮定します。
 近年、蘇生医療が進歩して、心肺停止、脳停止してから、数十分~数時間後に脳波が再び起きる臨床データが増えております。
 脳停止はコンピューターに例えるとシャットダウンです。しかも蘇生者らの記憶が心肺停止以前と変わらず、更には心肺停止期間の意識、記憶が蘇生者へのヒヤリングで確認されております(ex.サム・パーニャ医師らのAWAREプロジェクト)。
 脳(ニューロン起因の電子情報系)では、シャットダウンしてから再起動(蘇生)した場合に意識、記憶が残ることは矛盾します。
 因って「霊魂は実在しない」という仮定は矛盾しますので、背理法にて命題は証明されます。

 半世紀前に日本における情報工学の先駆者の関英男博士(東京工業大学)は霊魂のことを「幽子情報系」と仮説しました。
 私は大学受験の頃に当時の公害問題に対処するために、工学部の衛生工学科を受験し不合格でした。浪人中に関博士のNHK出版本 *1 で「幽子情報系」説を読んで感動し、次の年は情報工学科に合格しました。
 そして40年近く前、私が音声認識の研究者だった頃、日本音響学会の全国大会の控え室で関英男博士にお会いして、2時間も欧米での超心理学研究の状況についてお伺いしました。
 とても懐かしく、全て必然だったと存じます。

*1 「情報科学と五次元世界」関英男、日本放送出版協会、1971年年

Q.生き返った場合には本来は記憶喪失状態になるはずだと言うことなのでしょうか?
A.遺伝子情報系はROM(読み出し専用記憶)ですね。ニューロンによる電子情報系がRAM(ランダムアクセス記憶)とします。
問題は脳波停止の状態でハードディスクやフラッシュメモリのようにニューロンが記憶を保持するとしたらどうモデル化するかですね。
ニューロンの可塑性(伝達特性の変化)でモデル化する説はあります。ただ、脳波停止して数十分~数時間後に複雑なニューロン結合で同じ伝達特性が保てるか疑問です。
なお脳波停止の状態では意識も記憶の形成も不可能であると言われてます。
詳しくは「脳波停止後の記憶の保持」でグーグル検索してみて下さい。

以下は平成元年8月に元NHKアナウンサーの鈴木健次氏と「人工知能」について対談した際の新聞広告です。私が情報工学(IT)の専門家だった頃の私見です。
(対談の抜粋)
鈴木:つまり、人間が機械になれるのではなく、機械を人間に近づけて、友だちにするということですか。
神谷:はい。AIをローマ字読みすると「アイ」になりますが、私達はそれを「愛」、つまり人に親切であること、優しさだと考えています。
鈴木:では、話を一挙に最後に飛ばしますが、究極のAIがあるとしたら、どんな形になるのでしょうか。
神谷:人によって多少違うと思いますが、私達は「情報神システム」というようなものをイメージしています。
鈴木:というと天の神様とか地の神様とか、いろいろな神がいるけれども、新しく情報の神を人間が創造することになりますね。
神谷:8人の話を一度に理解した聖徳太子、万能の天才ダ・ビンチの能力を超えることだってできますよ。
鈴木:いくら万能のコンピュータでも、そこに打ち込むのは人間ですから、人間自身が寛容の精神と広い知識を持っていないと、悪いデータばかり放り込むことさえありうるわけです。
神谷:そうですね。霊心体、三位一体の思想では、コンピュータの体はハードウェア、心はソフトウェアで、霊は何かというと、それをつくった人の良心ということになりますね。